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2020/06/19 皮肉な再放送

 2008年に7話にわたって放送されたTVドラマ「CHANGE」が、今週から再放送されている。

 衆議院議員であった父親が、不正献金疑惑を暗に認めたことで息子は政治家嫌いになり、教師の資格を取って長野県の小学校の教師になる。
 その父親が不慮の事故死を遂げたため、旧地盤の後援者たちが母親と共に、その息子(配役・木村拓哉)を後継者として担ぎ、本人の意思に反して戸惑いながらも、補欠選挙に出馬する事になる。
 腹を据えた彼は、それまでの政界の常識に反し、自分が「正しい」と思う方向の発言をして、すれすれの得票で当選してしまう。当時の政局は、腐敗した内閣の総辞職を受けて混乱しており、国民の評価は最低。そこで、党の幹部の策略として若い彼が風よけに総裁選に立たされたのであったが、あっという間に史上最年少の総理大臣になってしまう。


 私は初演の頃、あの木村拓哉の演技力と、20分にもわたる長い科白を中断なく発言しきった驚き、その内容の鮮烈さに心打たれた。当時の視聴者から、『キムタクを総理大臣に』という声が多く聞かれたこともうなづける。いま再放送されてまだ途中の段階だが、また新しい感動を受けた。

 当時は民主党が政権を握ったものの、東日本大震災に遭ってその対処を誤ったため、国民が選挙で野田政権を潰したのは2012年の初夏だった。もちろんこれには、小選挙区制という不可解な制度が最大の原因でもある。
 おりしも今、新型コロナウイルス対応を誤り、また閣僚や官僚の不祥事が続いているために、自民党の現内閣が非常に不安定になっている。そして問題点が山積みのまま、会期延長もせず、17日に国会を閉じてしまった。

 こんな時にあの「CHANGE」の再放送。痛烈な皮肉を感じるのだ。