小檜山 博さん

 いま我が家では地元紙の「北海道新聞」を購読している。地元では、親しみをこめて「道新(どうしん)」と呼び習わしている。この北海道新聞社が、毎月第2と第4の木曜日に、「花新聞Hokkaido」というA4版40ページほどの小冊子を発行している。
 私達も、昨年の1月から新聞と一緒に配達してもらっているが、1冊250円。先週配達してもらったのが第317号だから、もう13年以上続いて発行されている。花の栽培に関する本では全国版が幅をきかせている中で、北海道の気候での栽培情報は貴重である。
 この小冊子に、小檜山博(こひやま・はく)という北海道出身の作家・エッセイストが、毎号花に関するエッセイを書いている。優しい筆致で、気配りのきいた文章は読んでいてほっとするものがあり、私は真っ先にこのエッセイを読むことにしている。

IMGP2149-600_400北海道新聞社発行「花新聞Hokkaido」

 先日妻と書店に行って、互いに好きな本を物色していたが、文庫本の中に小檜山博氏の「人生という旅」という題のエッセイ集を見つけたので購入してきた。
 著者・小檜山博氏は私より5歳年長である。北海道のオホーツク海側の山村で、極貧の家庭に育ち、あらゆる辛酸をなめつくして頭を持ち上げてきた。その自分の経験を土台にして小説やエッセイを書いてきた。御両親は会津喜多方のご出身とか。
 私は両親を幼い時に亡くし、当時札幌に居た会津若松出身の祖父母に厳しく、倹しく育てられてきた。だから境遇の通ずるところがあって、一気に読んでしまった。

IMGP2151-600_400「花新聞Hokkaido」の中のエッセイと、文庫本「人生という旅」

 この文庫本の中に、ちょっと驚いたエッセイがあった。私が30歳の時、札幌の郊外に直営で自宅を建てた時、大工工事を担当してもらったのが、州(くに)建設㈱の社長、後藤州秀(ごとうくにひで)さんだった。私が建築現場で担当した協力会社の紹介で知り合ったのが縁であった。丁寧な仕事を心がける人で、駆け出しの私でも感心していた。
 この「くにさん」は、小檜山氏の苫小牧工業高校時代からの親友だったそうである。彼らが61歳のとき、「くにさん」が急死して、その葬儀で小檜山氏が弔辞を読んだことが記されていた。「くにさん」は、個人だけでなくライオンズクラブ等を通じて、北海道の社会全体に大きく貢献していたそうだ。

 ただ小檜山氏は、5年ほど前に盗用事件を起こして公式に謝罪している。全国紙の投稿欄に載ったアマチュアの記述を、やや修正しただけで自分の作品にとりこんでしまったらしい。魔がさしたのだろうが、それにしてもまことに残念な瑕疵だった。

 北海道新聞社は、中央の出版社にできない地元向けの情報発信を心がけており、私も昆虫、鳥、花、樹木の図鑑を利用させてもらっている。なお私達の息子も、北海道新聞社から「北海道爬虫類・両生類ハンディ図鑑」を出版している。

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