小笠原・動物ウオッチング

 小笠原では、いろいろの動物を観察してきた。到着した翌日早朝、ホテル前の海岸の、砂浜から20メートル弱の所で、アオウミガメのを観察できたのは感動だった。
 はじめは100メートルほど沖で、オスがメスの周囲をぐるぐると回りながらだんだん海岸に近づき、私たちのすぐ目の前で交尾に成功した。ホテルの話では、今後1週間ほどするとメスがこの海岸に来て、夜間に5日ほどかけて500個ほどを産卵するそうだ。
 海岸からホテルに戻るとき、樹上にツグミ大の鳥を見つけた。とっさにデジカメで撮影し、帰宅してから図鑑で確認すると、日本では迷鳥扱いのアサクラサンショウクイのメスによく似ている。迷った挙句に、小笠原自然・文化研究所にメール添付で問い合わせたところ、鈴木創さんから「イソヒヨドリのメス」ではないかと返信をいただいた。
 同定したという根拠も丁寧に入れて下さったのだから間違いないのだろうが、私としては「そうかなぁ」と、まだ迷っている。
 同じ日、クルーザーで父島の南西にある南島へ行く。ここは自然保護を徹底していて桟橋もなく、風の都合で上陸できない日も多いとか。この日はうねりも弱く、風向きの都合も良くて、幸い私たちはサメ池の入り口から船が入り、上陸できた。
 ここでは、イソヒヨドリの鳴き声がよく聞こえたが、かメラには収まらない。帰り際に撮影できた鳥はダイサギのみだった。
 クルーザーには、船底中央部に海底を観察する観察窓がある。サメ池の中で船長が戦場から魚の切り身を入れた籠を真下に下ろし、集まる魚を観察させる。ただガラス面に空気が入り込んでいるので、目視では魚は分かるものの、写真ではゆがみが入る。
 エサ篭を下すと、イシダイやメジナなど大き目の魚が寄ってくるほか、10尾を超えるゴイシウミヘビが来て、細い体でエサ篭に入り込む。ひととおり籠のエサが空になり、船長が篭を上げると、ゴイシウミヘビが2尾ほど入っていて、篭を振って出した。
 八丈島では、岸壁で釣りをしていると、よくこの
ゴイシウミヘビが釣れるとか。これはウナギの仲間で毒はないそうだが、不味くて食用にはならないそうだ。
 南島を離れると、父島の西沖でホエールウオッチング。この日は波も穏やかで、4時間ほどの間に20頭近くのザトウクジラに出会うことができた。
 中でも、子連れのメスのまわりで、3頭のオスがバトルを繰り広げて、ぶつかり合ったり塩を噴き上げたりと、壮観だった。
 クジラが向こうを向いて尾を上げた瞬間は、なかなか写真に撮れない。その尾の裏側には白いマダラ模様があって、みなまちまちなため、個体識別になるという。私たちも少なくとも4頭は識別したが、カメラに収まったのは黒一色に近い個体のみだった。
 海上では、そのほかにイルカやシャチも見てみたいと期待したが、それらには出会わなかった。そのかわり、船長も驚くほど多くのザトウクジラに出会うことができた。
 南島や母島への航路では、カツオドリが船と競うように飛んだ。私たちは初めて見る姿だった。翼の開長は頭尾長の2倍くらいで、図鑑には開長約1.5メートルとある。大海をバックにしてみると、そんなに大きくは見えないのが不思議だ。
 母島の港近くの砂浜では、ムナグロが群れていた。メスが多いのだが、夏羽に変わりつつあるオスもちらほらと混じっていた。
 南島の海浜なぎさ公園には、港の脇に大きな囲いがあって、アオウミガメの産卵スペースとネムリブカの飼育スペースがあった。ネムリブカのスペースは外洋に解放されていて、30頭前後が自由に出入りしている。体調1.5メートルほどで、あの凶暴なメジロザメの仲間だが人は襲わず、いたっておとなしいとか。
 母島ではほかに、きれいな夏羽根模様のキョウジョシギのオスも見つけたのだが、残念ながら露出オーバーでうまく撮れなかった。ほかにメジロ、ハハジマメグロ、オガサワラヒヨドリ、イソヒヨドリも見つけたが、
カメラには収められなかった。
 また、アカガシラカラスバトには、ガイドが確約してくれた場所でも見つけられず残念だった。
 父島を出発する日の朝、扇浦の海岸で小さなカニの死骸を見つけた。午前中にまたシマちゃんの案内で、二見港の北側の山内を案内してもらった時、樹木の皮の表面に居たトカゲ、グリーンアノールに出会った、体調は18センチほど。
 このトカゲは外来種で、戦後、船舶で運ばれた材木などに紛れて侵入し、環境が適していたのか爆発的に増えているとか。カメレオンのように、背景に応じて体色を変えるようで、この後にもガイドが捕まえて見せてくれた個体は、茶褐色だった。
 
息子からも、このグリーンアノールと、オガサワラトカゲの情報を聞いて、カメラに収めたいと考えていたが、オガサワラトカゲには出会えなかった。

 

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