手書き文字の老化

 私の書く文字は上手ではない。子供の頃、学校の習字の時間以外に、毛筆もペン習字も習っていない。ただ、そこそこ人様に読んでいただける文字が書けるので、悪筆ではないと自負していたものである。
 私の若い頃、社外発表のレポートを手書きでまとめていたことがある。上司に下見をして頂くのであるが、なかなかOKが出ない。下見の都度、あれこれとダメが出るのである。ボールペンの手書きだから、その都度はじめから書き直しである。
 ちょうどこの頃、ワープロが普及し始めており、私も自分で購入して練習していた。あるときダメを出されたレポートを、 内容を訂正しないでそのままワープロで作り直して提出して見た。それがすんなりと通過してしまったのである。

 この時から大事な報告書はワープロで作るようになった。そのうちパソコンが普及して文豪や一太郎、ワードの世界になり、 バソコンが1人1台の時代になって社内LANが普及し、手書きの機会が減った。
 退職し、たまに文書を手書きする機会が多くなると、何ともひどい字になるのである。 文字数が少ないと一文字ずつなんとか丁寧に書けるのであるが、長文になると途中で崩れて、自分でも読めない字になってしまうのだ。
 あまり使わなくなった”文字を書く筋肉”が痩せてきてしまって、思ったほどには動かなくなるのであろうか。これでもっと怖いのは、漢字変換を機械任せにするようになって、いざ漢字を手で書こうとすると書けないことがある。「読めるが書けない」という現象が起きているのだ。
 その点妻は、片流れのややクセのある字であったが、この藤沢に来てから熱心に書道教室に通い、漢字毛筆、かな毛筆、硬筆ともに5段と師範の資格まで取ってしまった。簡単なメモを書いているのを見ても、結婚当初とはガラッと違った安定した字になっている。

 この頃は、熨斗袋や香典袋の文字は、妻に毛筆で隷書体で書いてもらっている。

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