偽装された構造計算書-1

 この頃大騒ぎになっている構造欠陥マンション。建築物の構造計算の際に設定される構造耐力を半分以下に設定して、構造体に組み込む鉄筋やコンクリートの必要量を減らし、あたかも経済的な設計をしたかのように見せかける。同じ規模の建築物を作るとき、 使う鉄筋やコンクリートの量が節約できれば、それだけ安く建設できる。ただし必要な耐力は確保して・・・のはずであった。
 「あの設計者に構造設計を頼むと、建設費が安くなるように計画してくれる」。そんな評判が得られると指名が増え、仕事が続いて入ってくる。自治体も確認検査機関も偽装を見落とす。それで設計耐力を下げた構造設計を続けてきたのであろう。
 日本では、大体において「ソフト」というものにあまり金を出したがらない。建築物の発注者は、建設業者の見積りの中で、工事費用のソフト部分、つまり完成した後に残らないもの(仮設、安全管理、業者経費など)は、「削りしろ」として値切ってくる。建築の設計料も安くせざるを得ない状況にあるようだ。マンション業界も過当競争である。安く造らねばならない。コストダウンの要求が度を越してそれが当たり前になり、設計事務所や建設業者は、いやでも赤字を背負うことになる。
 そんな中での今回の事件。もしも業界全体にこの現象が浸透していたとしたら、大変な事件になる。氷山の一角でなければいいが。

参考リンク「偽装された構造計算書-2

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