北海道のカブトムシ

 2002年8月下旬、私と妻とは息子の家族を訪ねて、北海道の北見へ行ってきた。関東ではまだ連日30度を超す気温の中であえいでいるというのに、北見では日中でもからっとしていて、朝夕は涼しく、ナナカマドの実が赤く色づいていた。だがさすがに葉まで色づくには、まだ少し間がある。
 夜になって、市街の西20キロほどにある温泉に行った時、車を降りるとブーンと大きなムシが飛んできた。水銀灯にぶつかって落ちてきたのは、なんとオスのカブトムシであった。

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 20年ほど前までの昆虫図鑑では、カブトムシは本州以南にしかいないことになっていたし、中学・高校と札幌付近で昆虫採集に明け暮れた私の記憶でも、カブトムシの捕獲経験はない。ただ「函館周辺では繁殖しているらしい」といううわさは聞いていた。だから、北海道のしかもこんな東の地で、生きた野生のカブトムシに会えるなんて思ってもいなかったので、本当に驚いた。息子の話では、温泉地帯にはけっこういるらしいけど、この道東でカブトムシを見るのは初めてだ、とのことであった。
 本州で見るカブトムシは、大型になると体の上面(鞘翅)に微毛がびっしりと生えたようになっていて白っぽく見えるが、ここで見たものは20パーセントほど小型で、上面もつやつやと光っていた。
 観察を済ませてすぐに放してやったのだが、あとで「人が持ち込んで繁殖したために生態系が崩れてしまったという事例が多いのだから、本当は放すべきではなかったのかなぁ・・」と悩んだりした。
 ブンチョウ、セキセイインコなどの鳥や、ハクビシン、アライグマ、タイワンリス、ミンクなどの小動物が飼育途中で逃げ出したり、飼い切れなくなって放したりして野生化し、その一部が在来種の生存をおびやかしている現実がある。

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