♠ 今、藤沢市で私達の住む近所では、50年前には雑木林を背負い、夏の夜になるとコフキコガネがぶんぶんと家の中に飛び込んできた。エアコンはおろか扇風機さえなかった当時は、風を入れるための窓に網戸をたてないと、家中が虫だらけになってしまったものだ。圧倒的に多いのはガのたぐいであったが、ガ以外で特に多かったのが、このコフキコガネである。長さ約25~30ミリ、幅約15ミリ、高さ約10ミリで、灰褐色をしており、上翅に細かな白っぽい微毛が粉をふいているように生えている。
コフキコガネ♂ コフキコガネ♀ ヒゲコガネ ドウガネ アオドウガネ シロテンハナムグリ
♠ 毎朝20匹ちかくが網戸にしがみついていたし、家から駅までの商店街の道路には毎朝30匹以上が転がっており、半分以上は踏まれて死んでいた。
♠ ほかにはヒゲコガネ、ドウガネブイブイ、アオドウガネなどの大型コガネムシ類やカブトムシ、ノコギリクワガタやコクワガタなどが来ていたが、朝まで残っているのはきまってコフキコガネだけであった。また日中は、芙蓉の花にシロテンハナムグリが数多く飛んできていた。
♠ さてそのコフキコガネであるが、最近はさすがに自宅にまでは来なくなってしまった。それでもまだ駅までの道で毎朝2~3匹は見つかる。この幼虫は植物の根の液を吸って成長するのだそうであり、これだけのコフキコガネを供給しつづけてきてくれた大自然の存在が、コフキコガネを見なくなったとき、「滅び」を宣告されるのではないかと、空恐ろしい気持ちがする。