妻の茶道

 妻が高校2年生の頃、母親の提案で行儀見習いのため、父親の上司だった方の奥様に裏千家の茶道を習いに行くことになった。妻の本心としてはあまり乗り気ではなかったそうだ。部活も外出もきらいで、とにかく学校からまっすぐ帰宅して、静かに本を読んでいるほうが性に合っていたのだから。

1-Sadou

 初めのうちは、足がしびれてお手前どころではなかったが、しぶしぶながら3ヶ月ほど我慢しているうちに、足もしびれなくなってきた。
 そうなるとげんきんなもので、それまで暮らしてきた世界とは違う舞台に立ったようで、楽しくなってきたのである。またこの茶道はしくみがうまくできていて、課題を一つずつ修了すると免状をくれて(もちろん有料)次の課題を与えられる。だから成長を認めるとともに中止しないように次々に課題が待っている。またそれが各段階ごとの教師免許をも意味しており、優越感をくすぐるのである。
 お稽古を始めて3年目ころに、茶道用の風炉釜を買って自宅でも練習し、両親に無理やり「けっこうなお手前で・・」と言わせていた。結婚を期にお稽古を中止したが、免状の数は全部で9通にもなっていた。今も大事にしまってある。
 結婚後はなかなかお手前のチャンスもなく、風呂釜も物置を転々と移動して、今の住まいに来たときはぼろぼろに錆びついていた。私がとても残念がったのだが、妻は万感の思いを振り切って、これを処分した。
 このごろ、また茶道を再開したいと思い始めているようだが、腰と膝が痛くなるので正座を続ける自信がない。でも、「コーヒー道」のように、テーブルと椅子の席で、ポットのお湯を使ってお抹茶を頂いてもいいと思っているこのごろである。

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