♣ 海鳥、特にウトウを観るために天売島に行こうと、1ヶ月ほど前から計画していた。天気予報もまあまあなので、思い切って出かけた。朝7時前に車で出発。道央自動車道を走り、砂川SAで飲み物を買って、深川JCT、留萌市経由で一気に羽幌(はぼろ)港へ。到着は10時すぎであった。
羽幌港の漁船
♣ きょうは羽幌神社のお祭りとかで、停泊している漁船は大漁旗を立てていた。早めに着いたので、徒歩で15分ほどの羽幌神社まで行ってみたが、お祭りの最終日にしては人も居らず、静かだった。
高速船”さんらいなぁ号”
♣ 11:40羽幌発の高速フェリーに乗った。途中で遠くに5~6頭のイルカを見たが、種類は分からない。35分で焼尻島に寄航し、10分停泊の後15分で天売島に着いた。一緒の船で着いた若夫婦(北九州市から2歳の女の子を連れて来た)と一緒に観光船に乗り、天売島をぐるりと一周して、海鳥を観察した。
天売島の北側
♣ 天売島の北から西側を回って南西までは切り立った崖であり、おもにオオセグロカモメ、ウミネコ、ウミウ、ヒメウが群れており、ちょうど繁殖期なのかオオセグロカモメのヒナを見ることができた。
オオセグロカモメの成鳥とヒナ
♣ また一時は3万羽居たというオロロンチョウ(ウミガラス)が10羽を切るまでに激減し、呼び戻すために沢山のデコイ(鳥の模型)を置いてあった。このやりかたは、伊豆の鳥島でアホウドリを呼び戻すのに成功した作戦である。今回私達は、撮影は間に合わなかったが、1羽だけオロロンチョウの実物を観ることができた。
オロロンチョウ(ウミガラス)のデコイ
♣ 港に戻り、軽自動車のレンタカーを借りて1時間ほど島内を回ってみた。この島にはマムシも居るらしい。注意書きの看板があった。黒崎地区には、”ウトウ”というウミスズメの仲間が60万羽ほど営巣しており、オオイタドリの繁みを目隠しにして、その下に巣穴を掘っている。巣穴の入口は小さく、深さは1メートルから3メートルもあるそうだ。ここに、1つがいが1個だけ卵を産んで孵す。卵が孵ったあとは、親鳥は海へ出て行って夕方まで帰ってこない。
オオイタドリの下にあるウトウの巣穴
ノゴマ(♂)
♣ 港へ戻って車を返し、一旦宿に入って休憩して夕食を済ませる。さすがに孤島だけあって海産物が豊富であり、ご飯がいらないほど沢山の品が出てきた。19時に、予約しておいたバスが迎えに来て、ウトウの親鳥の帰島するのを観にいく。昼間に見た黒崎地区に行く頃には薄暗くなり、すでにウトウが巣穴めがけて帰ってきている。
♣ 巣穴の近くにはカモメたちがエサを横取りしようと待ち構えている。うっかりカモメの傍に着地すると、くわえている魚をねらって襲いかかる。ウトウそのものには危害を加えないが、エサをくわえていると狙われる。この日は、既に半分以上のヒナが巣立っており、魚を大量にくわえている親鳥はいなかった。案内人の話では、多い時で40尾以上のカタクチイワシをくわえていたそうである。
ウトウ(大きさはカラスとハトの中間くらい)
♣ ウトウの巣穴が深いせいもあって、孵化率は90パーセント以上だそうである。だがヒナは巣立つとすぐに巣穴から出て、親の待つ海まで自力で降りて(むしろ落ちて)行かなくてはならないので、無事に海にたどりつくのは10パーセント。そして無事に巣立ったヒナも、繁殖に帰ってこれるのはさらにその10パーセントなのだそうだ。
♣ 私たちが昼間に車で走っていた時、黒崎地区の巣穴の傍の路上で、ウトウの幼鳥がハシブトガラス2羽につつきまわされているのに出くわした。すぐにカラスは追っ払ったが、幼鳥は息はあるもののほとんど動けず、オオイタドリの薮の中にそっと移してやるしか手立てはなかった。海上で待つ親の傍に行こうと、巣穴を出てきてしまったのだろう。
見聞きした動物
ウミネコ、オオセグロカモメ、ウトウ、オロロンチョウ(ウミガラス)、ウミウ、ヒメウ、ケイマフリ、
ノゴマ、アオジ、ウグイス、ハクセキレイ、ハシブトガラス、スズメ、
ゴマフアザラシ、イルカspp.
所用費用
羽幌→天売 高速フェリー 4,160円/人 観光船(約70分) 2,000円/人
レンタカー(軽・1時間+ガソリン) 3,300円/台(⇒24時間だと 10,000円/台)
ナイトツァー(1.5時間) 1,000円/人 宿(1泊2食6畳和室2名) 7,350円/人