下駄の思い出

image001_002Õ 私の右近下駄       妻のしぐれ下駄

 古い紙箱の中から、2組の下駄が出てきた。20年ほど前まで私が履いていた細身の右近下駄と、 同じく妻が雨天の和装のときに履いたしぐれ下駄である。
 下駄は引きずって歩くと、カラン、コロンと左右で高さの違う音がする。左右同じ音程の下駄はあまり聞いた覚えが無い。音程が変るように組み合わせてあるのだろうか。
 札幌で、冬には祖父や祖母が雪下駄を履いていた。夜、ミシッと冷え込んだときに、しっかりと踏み固められた雪道を雪下駄で歩くと、「キュッ、キュッ」と金属的ないい音がした。
 私は小学校高学年の頃、高下駄を履いて通学していた。この歯はほおの木で出来ていて、すり減ってくると交換する。当時は、リヤカーを引いて下駄の歯や鼻緒の交換、雪下駄のフードやスパイクの固定をしてくれる行商人が居た。
 北海道神宮(当時は札幌神社)のお祭りの時や旧盆の頃などに、女の子が着物や浴衣を着て、普段履き慣れないぽっくり下駄を履いて歩く。下駄の窪みの中に鈴の入っているものもあって、ポクポク・チリリンと可愛いものであった。
 ぼたん雪など少し湿った雪の降り積もったとき、下駄を履いて歩くと下駄の歯の間に雪を噛みこんで、そのまま歩くと雪がだんごのようにくっつき固まり、ふらふらとして歩けなくなるのである。初雪の頃それが面白くて、わざわざ下駄で歩き回ったものだ。

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