ピー 旅立つ

 パンダねこの”ピー”は、今日の未明に静かに息を引き取った。昨日私達が帰宅してから、正午前と16時ころに与えた餌は何とか7割ほどずつ食べた。ここ数日、エサは何とか食べるものの、ケージからはほとんど出なかった。それが昨夜22時ごろ私と妻がテレビを見ていると、”ピー”がよろめくようにケージから出てきて私達の間に座り込み、私達の顔を交互に見上げながら二声鳴いた。
 しばらく撫でてやるとうっとりしたようになったので、左のわき腹に出来た腫瘍の治療をしてやったが、いつもは治療が終ると起き上がるのに、昨夜は寝たままで私たちの顔を交互に見上げている。
 ケージに入れてある水を取替え、彼女が一番好んだエサをケージに置いて、抱いて戻してやった。しばらく様子を見て、23時半ごろに声を掛けると一声返事をしたので、私たちも床に入った。

20040131-Pihko-2-540_360 2004年1月、12歳の頃の”ピー”

 予感があって、今朝5時に起きて見に行くと、”ピー”は息絶えて硬直しかけていた。エサは食べていなかった。薄目を開けてはいたが、穏やかな顔であった。妻は昨夜なかなか寝付けなかったようなので、8時まで待って起こし、知らせた。妻はここ数ヶ月、精神的なストレスで辛い思いをしているのだが、そのストレスの原因のひとつが、”ピー”の腫瘍の治療と、日々弱っていく姿を見ることにあった。そのため妻への知らせは慎重を要したのだが、「ゆうべ私たちの横に来て鳴いたのが別れの挨拶だったんだね」と比較的冷静に受け止めてくれて、ほっとした。”ピー”は、推定17歳であった。
 このマンションの管理組合の理事長宅で、昨年末に14歳のネコを亡くしたとき、ペット専門の葬儀社に頼んで、移動火葬車で荼毘に付してもらったと聞いていたので、連絡先を聞いて夕方に来てもらった。入窯の時には理事長ご夫妻も立ち会ってくださった。遺体のわきに花だけ添えてもらった。所要時間は約50分。粉々にはせず、部位別にある程度形を残して整理してくれてあり、私と妻とで骨壷に収めた。神奈川・東京や関西方面でのペット葬儀社の雑駁さを聞いていたので心配はしたが、非常に丁寧な扱いをしてくれて、嬉しかった。

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 縁があって我が家で預かって11年。孫たちにどんなに扱われても、絶対に爪を立てたり歯をむき出して唸ったりせず逃げ回るだけであった。また半年前から左わき腹の皮下に腫瘍が出来て、動物病院では「高齢なので麻酔から醒めない可能性が高い」といわれて手術を断念した。素人の私達が毎晩手当てをしていて、恐らくかなり痛い思いをしたであろうが、口元をピクピクさせるだけで声は上げなかった。 最大で12歳の頃に7キロあった体重は、4日前には1.7キロになっていた。
 ”ピー”は腎臓や肝臓に疾患があり、ここから歩いて10分ほどの所にある石山通り動物病院で定期的に治療を受けていた。また私たちの息子も、機会あるごとに治療や補液をしてくれていた。今朝、動物病院でずっと担当してくれていた女医さんに”ピー”の死を知らせた。午後にその動物病院から花束が届けられて驚いたが、その心遣いがとても嬉しかった。
 ”ピー”よ、満足な看病ではなかったと思うが、赦してほしい。先に天国に行っているヨーキーの”エイミー”や”クー”、”さくら”と一緒に、地上であくせくしている私たちを見守っていておくれ。

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ピー 旅立つ への3件のフィードバック

  1. 鎌倉のホシガラス のコメント:

     一緒に暮らした動物の死は家族同様悲しいものです。私も愛犬の死に何回か遭っていますから良く判ります。
     先日も映画でしたが、HACHI を見てラストシーンは涙でした。(圓朝まつりのブログにも
    載せました)
     動物といえども人間同様に場合によっては、それ以上に感情を持っています。それだからこそ可愛いのでしょう。
     ピーちゃんの冥福を祈ります。

  2. たらぼー のコメント:

    幸せな一生だったと思いますよ^^
    犬派の私ですが、猫もかわいいもんですね^^

  3. とくべえ こと DAD のコメント:

    鎌倉のホシガラスさん、ご丁寧にありがとうございます。
    正直に言って、何となく肩の荷が下りたような気持ちです。
    じっと痛みに耐えていたであろうピーが、そのガマンから開放されたであろうという意味と、その耐えている姿を目の前にいつも見ていて、その苦痛を少ししか和らげてやれなかったという、自分のもどかしさがふっきれたのと。
    ピーには悪いけど、いまそんな2つの気持ちが混在していて複雑な思いです。
    たらぼーさん、ありがとう。
    あなたとピーとの接触は浅かったですが、私たちの気持ちを分かってくれて嬉しいです。

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