マレーシア探鳥記 (2) クアラ・セランゴール・2

3月2日(日)
 朝、6時30分のはずのモーニングコールが5時45分に鳴り出したか゜、そのまま起きて身支度をし、7時からの早朝の探鳥(バード・ウオッチング)に参加した。さあ、本格的な熱帯での探鳥の始まりである。宿舎の入り口前でバスを待っている時に、目の前の木の中でシキチョウがにぎやかにさえずっていた。

01_02-KouraiUguisu_Megurohiyodoriコウライウグイス           メグロヒヨドリ
Photo by Dr. S. Isoe

 セランゴール自然公園の入り口は、この日午後からの結婚式の準備のためバスでは入れず、途中から徒歩で入った。公園の中では、池をめぐりながら4キロほどの遊歩道を散策。遊歩道から50メートルほど離れた別の路上に全長80センチ位のオオトカゲが日向ぼっこをしていて、我々に気づくと薮に隠れてしまい、写真を撮るヒマもなかった。はるかな鉄塔の上ではシロハラウミワシが巣作りしていた。
 このルートでチャノドコバシタイヨウチョウ、シロガシラトビ、ムナオビオウギビタキ、セキショクヤケイ、コアオバト、コウライウグイス、ヤマショウビン、シロハラクイナ、メグロヒヨドリ、アオショウビン、ナンヨウショウビン、ハリオハチクイ、ムラサキサギ、カバイロハッカその他を見た。

03_04_05-KabairoHakka_Hariohachikui_Muneakagoshikidori     カバイロハッカ         ハリオハチクイ   ムネアカゴシキドリ
Photo by Dr. S. Isoe

 9時40分に宿舎に戻り、朝食を済ませると荷造りをして一休み。出発しようとバスの前に集合した時、宿舎横の木の中にシマキンパラが巣作りしているのを発見。一同感激であった。
 11時30分に宿舎を出発してメラワティ丘の麓へ。観覧バスに乗り換えて丘の展望台まで登ると、周辺でシロボシオオゴシキドリ、ムネアカゴシキドリ、キバラタイヨウチョウに出会った。また周りでは尾の長いカニクイザルや、かなり人なれしてエサをもらっているシルバーリーフモンキーがあちこちにたむろしていた。

06_07-ShimaKinpara_SilverLeafMonkey   シマキンパラ Photo by Dr. S.Isoe  シルバーリーフモンキー Photo by Miss M.H

 あちこち眺めながら丘をゆっくりと下ってバスに乗ると、13時40分、前夜と同じセランゴール河畔のレストランへ。メニューは前夜と少し違って、頑丈そうなプラスチックの皿に蒸したマングローブガニを山盛りにして、金槌が添えてある。この金槌でカニの足を叩き壊しながら中の身を食べるという、野趣満点の食べ方であった。
 我々が食べ終わる頃、となりのテーブルで従業員が食事を始めたが、我々には出なかったビーフンを大皿に山盛りにして食べ始め、みんなが「あっちのほうも食べたかったね」と笑いあったものだった。
 15時にレストランを出発。フレーザーズヒルに向かう途中で、広大な水田地帯に乗り入れる。延々と続く直線道路を、ゆっくりバスを走らせ、途中の田んぼや木々や農家の周辺に目を光らせる。道路沿いの電線にはアオショウビン、ヤマショウビンの止まっているのが何度も見られ、水田のところどころではダイサギ、コサギ、アマサギ、ササゴイなどが見られた。
 ここの水田は田植えを終えてまもなくの若い稲がまっすぐ空を突いているが、日本の水田のように列をなして整然と植えられているのではなく、まるでばら撒いたように雑草然として植えられていた。水田は非常に大きく、1枚が2ヘクタール以上もあるだろうか。植えられている稲は、長粒種(インディカ米)であろう。

08-Aoshoubin アオショウビンのペア  Photo by Dr. S.Isoe

 ところどころにある農家の屋敷林のひとつで、恋の季節なのかオニカッコウのペアが追いかけっこをしていた。私たちにとって、香港以来7年ぶりの出会いだった。
ほかにアカモズ、カタグロトビなどを見つけて、16時40分にこの水田地帯に別れを告げ、一路フレーザーズヒルへと、バスの向きを東に変えた。遠くに見える山並みに向かって順調にバスは走り、徐々に標高が上がって道路の両側に高い木立が増え始めた17時40分頃、突然チン・ホックさんがバスを止めさせた。
 左手のだいぶ離れた林のこずえに、何かを見つけたらしい。チン・ホックさんが双眼鏡と望遠鏡を抱えて「バザ、バザ」と叫びながらバスの外に飛び出し、我々もはじめはわけも分からず一緒にバスを出た。チン・ホックさんが望遠鏡を構えた方向を我々も双眼鏡で探すと、何と遠くの木の高枝にクロカッコウハヤブサ ( Black Baza)が止まっていた。この鳥は、チン・ホックさんにとってもめったに出会えない珍鳥らしい。さらにそのとなりの木の高枝には、日本でもおなじみのブッポウソウがいた。

10_11-Buppousou_Kurokakkouhayabusaクロカッコウハヤブサ             ブッポウソウ
Photo by Dr. S. Isoe

 どちらも双眼鏡で確認できたがクロカッコウハヤブサは珍鳥であるだけに、CHさんの望遠鏡でじっくりと見せてもらった。全員が一騒ぎした後バスに戻り、「あんな混み入った林の中にぽつんといた鳥を、走るバスの中から、しかも種類の見分けまでするなんて、さすがプロだね」と感心することしきりであった。
 その後19時30分にガソリンスタンドで給油し、トイレを済ませ、水などの飲み物を買っているときに雨が降ってきた。ちょうど陽も落ち、この雨の中をバスはフレーザーズヒルに向かってひた走る。
 深く切れ込んだ谷間の一本道を、バスはゆっくり、うねうねと高度を上げていく。途中で対向して来る車も殆どなく、また街灯のない真っ暗な中を、バスのライトだけがジャングルを切り裂くように右へ左へとなめていく。
 21時10分、ようやく宿舎(フェルダ・フレーザーズヒル・リゾート)に到着。雨はすっかりあがっていた。寝室に荷物を投げ出すと、21時30分、みんなで食堂に集合。宿舎の料理担当者も待ちくたびれていたのか、さっそく調理を始めて次々と出してくれる。我々もおなかがすいていたので、次々と料理を平らげていった。
 22時30分、今夜は鳥合わせを中止してそれぞれの寝室に引き上げた。宿舎は我々だけで一杯なのだそうで、CHさんと運転士君だけは別の宿舎へと移動していった。

 ( 以下、マレーシア探鳥記 (3) に続く )

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