初冬の札幌と道東-2

12月10日(金)
 朝、新千歳空港からJALで女満別空港へ飛ぶ。空港からは乗り合いバスで網走駅に出た。道東の野生動物については息子から情報を得ていたので、網走駅前でレンタカーを借り、羅臼まで行くことにした。車は5ナンバーの小型だがスタッドレスタイヤを履いており、カーナビもなかなか使いやすいものをセットしてあった。

06_07-Abashiri-Ek-Rentacar-605-230i           6.網走駅            7.マツダのレンタカー

 冬季にこちらへ来ると外せないのが、オホーツク海沿岸・原生花園の山側にある濤沸湖(とうふつこ)である。ここには初冬に、多くの種類の水鳥が集まるのだ。その水鳥たちに会うために、白鳥公園に寄り道をする。さっそく優雅な姿のオオハクチョウが出迎えてくれた。そしてマガモ、オナガガモ、ホオジロガモなどの群れの中に、ワシカモメがいた。この近辺に来るカモメの仲間では、2番目に多い種類だと聞いた。
 この濤沸湖に近い小清水に妻の次兄夫妻が住んでいるので、立ち寄って見た。しかし予告せずに行ったため留守で、義姉のお母さんに伝言をお願いして、再び車に乗った。

08-041210Hakuchou-Kouen8.濤沸湖・白鳥公園のオオハクチョウたち

09-10-041210-Magamo_Onagagamo9.マガモ            10.オナガガモ

11_12-041210-Kamome_Hoojirogamo11.ワシカモメ            12.ホオジロガモ

 目的地の羅臼に行くのに一番分かりやすいのは、知床半島北西側のウトロから知床峠を越えて行くコースなのだが、この時期は雪のため峠が通行止め。そのためカーナビを頼りに、根北峠(こんぽくとうげ)を越えることにする。道路の凍結を心配していたのだが、気温が上がって道路が濡れたまま凍っておらず、無事に峠越えができた。
 この峠道では野生動物が交通事故に遭うことが多いらしく、エゾシカを描いた注意標識がたくさん立っていた。キタキツネやタヌキなどの小型の動物も事故に遭うのだろうが、エゾシカくらい大型になると、車のダメージもだいぶ大きいのだろう。ヒグマなどに遭うと怖い。そういえば息子が2年ほど前に、知床峠近くでヒグマに出会ったことがあると言っていた。

13_14-041210-Konpoku-touge_Shikachuui_Mark13.根北峠            14.シカ飛び出し注意

 根北峠を過ぎてほぼ20キロ程下ると、伊茶仁(いちゃに)で根室海峡に突き当たる。海峡の向こうにおぼろげに国後島を見ながら北上する。単調な道を30キロほど走ると、羅臼の町が見えてくる。
 ここには息子の推薦する民宿がある。漁師の奥さんが運営しており、ご主人と息子さんが出漁して獲ってきた海産物を調理して出してくれる。夏の海釣り、冬のバードウオッチングに良いらしい。流氷が接岸するときもあるとか。野生の動植物も豊富で観察には最適だが、少し奥に入るともうヒグマのテリトリーなので、うっかり単独では入らないでくれと言う。私たちが到着してすぐ、宿の前の斜面にエゾシカが2頭現れた。
 夕飯にはメンメ(キンキ)の水煮と、オヒョウ、ソイなどの刺身、そしてケガニとズワイガニの蒸したものが2人分で1パイずつ出てきた。

15_16-041210-Ezoshika_Pilenian15.宿の前の斜面にエゾシカが来た   16.宿の番犬、グレートピレニーズ

12月11日(土)
 早朝まだ暗いうちに、なんとなく気配を感じて窓のカーテンを開けてみると、明かりに照らされた宿の前の道路を、立派なツノを持ったオスのエゾシカが悠々と歩いていった。この宿の番犬である大きなグレートピレニーズが宿の前につながれていて、このエゾシカを見ていたが、立ち上がりもせず、咆えもしなかった。日常的な情景なのだろう。
 やはり結構な量の朝食をよばれ、破格に安い料金を払って宿をあとにする。今回は、ちょっとあてにしていたオオワシ、オジロワシには会えなかった。時期がちょっと早かったようだ。きのう右に見た根室海峡を左に見て南下し、伊茶仁の分岐を通過して標津(しべつ)を過ぎ、野付半島に入る。この半島は、根室海峡に唐草の蔓のように伸びている。時間の都合で、途中のネイチャーセンターに寄って、周囲の水鳥を確認して戻る。ホシハジロ、スズガモ、キンクロハジロなどカモの仲間が少し見られた。

18-041211Notsuke-Hantou17.野付半島の道 左右に海が拡がる

 小清水の義兄からの電話で是非寄ってくれと言うので、野付半島を早く出て根北峠を抜け、地平線までまっすぐに続くアップダウンの道路を、小清水まで突っ走った。義兄夫妻と久しぶりに挨拶を交わした。二人とも病気がちであったが、いまはとても元気そうに見えた。
 ゆっくりと話す時間がなかったので、またお邪魔することを約束して義兄宅を辞し、東藻琴、美幌、端野を通って北見まで走る。北見駅前のレンタカー事務所には、息子が迎えに来てくれていた。
 息子の自宅で一粒種の孫息子としばし遊び、夜は北見の東隣、留辺蘂にある北見温泉の「ポン湯」に出かけ、久しぶりに温泉に浸かった。

12月12日(日)
 正午過ぎの飛行機で帰ることにしていて、息子が女満別空港まで送ってくれることになっていたが、朝食が終わったらもう息子が「さあ出かけよう」と言う。私たちを空港へ送りがてら、私たちが今回の旅で見損なった鳥や動物を探してくれるらしい。息子の奥さんも子供もフィールディング大好き人間なので、皆で一緒に息子の4×4に乗り込む。
 しばらく北西方向に走ると、網走湖が見えてきた。湖面がもう半分以上結氷している。結氷していない湖面には、カワアイサ、スズガモ、ホオジロガモなどが少しずつ浮いていた。そして、網走川への流出口近くの樹上でついにオオワシの成鳥を発見。大きな黄色い嘴をじっくりと眺めた。
 さらに網走川の下流よりに少し進んだ所で、対岸の水際にゴマフアザラシを見つけた。やや小型の成体で、川岸にゴロンと寝転んで、時折頭を持ち上げてちょっとキョロキョロしたあと、また頭を下げては居眠りのようなポーズを取っていた。

19_20-041212-Oowashi_Gomafuazarashi18.オオワシ             19.ゴマフアザラシ

 道東の冬の小鳥としては、ベニヒワ、オオマシコ、ユキホオジロなどを見てみたいところであったが、残念ながら今回は会えなかった。時期が少し早いせいもあったと思われる。
 こうして夕方には無事に藤沢の自宅へ戻ってきた。今回は季節外れの低気圧のせいで出鼻をくじかれ、札幌での行動予定が少しずれてしまったが、あとは十分に初冬の道東の風情を楽しむことができた。妻の姉兄たち、民宿のおばちゃん、そして息子の家族に感謝である。特に車を運転しながら、遠くに居る動物をパッと見つける息子夫婦の動体視力には、いつもながら感服である。老眼の入った我々には、ちょっと口惜しい気持ちもあるが・・・。

カテゴリー: ドライブ, 動物, 季節, 思い出, 旅行, 日々つぶやき, 自然, パーマリンク

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA