3月3日(月)
◆ 朝になって気がついたが、寝室の天井に何か矢印が貼ってある。どうやらアラビア・メッカの方向を示しているらしい。そういえば、この国の人口の30パーセント以上がイスラム教徒だそうである。
◆ 午前7時に宿舎前に集合。宿舎は深くえぐれ込んだ谷筋の斜面の途中に建てられていて、まだ明けきらない周囲の木々の中から、色々な鳥の声が聞こえてくる。ゆるい登りの道をテレコムループという所までゆっくりと移動。鳥はアカフサゴシキドリ、ヒメアオゲラ、サルタンガラ、ヒメカザリオウチュウなどに出会った。
◆ 途中、ピンクのマメ科らしき花、黄色の壷状の花などのほか多くの花が咲いていて、今が花の季節なのか常に咲き続けているのか、よく分からない。
メッカの方向 マメ科の花 黄色の花
◆ 9時30分に宿舎に戻って朝食。クアラ・セランゴールでもそうだったが、こちらの料理では青野菜(タァツァイ?)をあっさりとした塩味で煮たものが美味しい。またテーブルにはセランゴールと同じように、ビンに入ったトマトケチャップと、それに良く似た色のトマトチリソースが並んでいる。このチリソースは出色の味で、どぎつい辛さでもなく、半端でもなく、そして大体のおかずに合うのである。ご飯はインディカ米でぱらぱらしており、日本式に「ご飯」として食べるとあまり美味しくないが、このチリソースをかけて混ぜると抜群にうまくなる。
◆ 10時40分、今度はバスに乗って朝と同じ方向へ移動し、さらに先へ進む。ハナドリ、ジャワオニサンショウクイ、チャガシラガビチョウ、ズアカガビチョウ、ルリハコバシチメドリ、ムギマキ、タテジマクモカリドリなどに出会った。またはるかな高空をカンムリワシがゆったりと飛翔していた。
大評判のチリソース カンムリワシ タテジマクモカリドリ
Photo by DAD Photo by Dr. S. Isoe
◆ 13時15分、宿舎に戻って昨日からの鳥合わせをする。14時から昼食をとり、日中の日差しを避けて少し休憩し、16時に再起動。バスに乗ってこのあたりで一番高い位置にあるハイパインズに向かう。
◆ 途中の駐車スペースででバスを降り、斜面を切り通したゆったりとした上り坂を登っていく。ゴシキソウシチョウ、ヒムネスミゴロモ、クリノドモズチメドリ、オナガウタイチメドリなどに出会う。
◆ また道路際の急斜面には、また道路際の急斜面には、コシダの仲間で、地面から出た茎が二股に分かれ、その先の葉がまた二股に別れその先がまた・・・と6回くらい分岐を繰り返しているシダがあった。日本ではシダというと大体が日陰にあるものだが、ここでは日光をより多く受けようと工夫するものが多いようだ。また殆ど名前が分からないのだが、道端には色々の小花が咲いている。
二股のシダ キキョウ大の花 15ミリの小花
◆ このハイパインズの、最も高い位置にある広大な別荘の敷地の中の木陰でしばし休憩して、周りに来る鳥を待つ。しかし別荘の庭で芝刈りが始まり、そのエンジン音がうるさくて鳥も寄り付かないため、敷地の入り口まで戻る。
◆ となりの建物の生垣の中でチラッと動く青黒い鳥が気になっていたが、じっくりと待っているとやっとオオアオヒタキが現れた。また空にはチュウヒワシが滑翔していた。
ハマユウ系 白い小花 黄色い小花
◆ またゆっくりとバスまで戻り、さらに1キロほど下の駐車場まで探鳥しながら歩くと言う。私たちはいささか疲れたので、バスに乗って駐車場まで先行した。駐車場の周囲にはエンゼルトランペットの木が多く植えられており、白と橙色の2種類が咲き誇っていた。木が大きいと花もたくさん付いており、花が大きいだけに見事である。
◆ そろそろ薄暗くなり始め、歩きの人達がそろそろ戻ってくると思う頃、すぐ近くの潅木に小鳥が飛び込んだ。双眼鏡でそっと覗くと、なんとタイヨウチョウの仲間の♀で、ねぐらにするのか葉陰にじっと止まって動かなくなった。
◆ やがて歩いて降りてきた人達がバスに戻ってきて、興奮しながら「ヤブゲラをじっくりと見てきた」という。ああ残念。我々はバスで降りてきたから、見損なってしまった。しかしタイヨウチョウのねぐら入りを見ることができて、満足である。 20時頃に宿舎に戻り、今まででは最も早く夕食を食べることができた。
( 以下、マレーシア探鳥記 (4) に続く )