マレーシア探鳥記 (4) フレーザーズヒル ・2

 3月4日(火)
 きょうはイスラム教の暦で新年に当たるのだそうで、町はお休みなのだとか。さすがに少し疲れが出てきたのか、朝の寝起きがちょっとつらかった。それでも午前7時すぎに宿舎前に出て門の外まで行くと、昨日の夕方に別荘地で見つけたオオアオヒタキが目の前の電線に留まってさえずっている。まるでサービスするように皆の目の前をあちこちと飛びながらしばらく姿を見せていた。
 町に向かって少し歩いていくと、木立の中にハト大の鮮やかな黄緑色の鳥が飛び込んだ。ヘキサンである。またバンブーオーキッドがあちこちで自生して、カトレアほどの豪華な花を咲かせている。名前のとおり、幹も葉も竹によく似た姿である。これは各ホテルや住宅などの入り口などにも植えられていて、たくさん咲いていた。

01_02_03-Ooaohitaki_Tanbihekisan_BambooOhquid                 オオアオヒタキ      ヘキサン       バンブーオーキッド

 上空にはシロハラアナツバメ、アジアヤシアナツバメ、カンムリアナツバメが飛び回っている。チンホックさんが見分けてくれないと、私には全部同じツバメに見えてくる。図鑑を指差しながらの解説と比較で、やっと納得する。
 朝食を済ませ、10時に今度はバスでギャップという所まで移動。休日のせいでか、けっこう車が多い。途中でバスを降りて、道路の両側を観察しながら移動。ギンムネヒロハシ、アカハシバンケンモドキ、アオバネコノハドリ、アオチメドリなどに出会った。また大きいけれども実に細かな巣を張ってその中央にでんと構えた大きなクモがいた。日本のジョロウグモよりも大きく、5センチ程もあるだろうか。足を含めた全長は15センチにも達する。
 またがけの斜面に横穴を掘り、入り口を木の葉とクモの糸のネットでカムフラージュして中に潜むジグモ。なかで足を折って入り口を向き、待ち伏せの姿勢でじっとしている。タランチュラのようである。
 少し開けた場所に、遠目には栗のイガそっくりに見えるものがたくさんぶらさがっている。直径10センチほど。しかし葉が栗とは全く違う。そばに寄ってよく見ると、名前は分からないが何とこれが花であった。

04_05_06-Jigumo_Kuriyou_BigSpider  ヂグモの巣     クリのイカのような花     大きなクモ
       Photo by DAD                                      Photo by Dr.S.Isoe

 12時20分、ギャップのレストランで昼食をとる。レストランの前は谷間方向に開けており、手前から対岸まで樹木が生い茂っていて、早朝ならたくさんの鳥が来そうである。高原だから朝夕は気持ちの良い気温だが、日中の直射日光はやはりきつい。陽の高いこの日中は人も鳥も暑さを避けて、じっとしている方がいい。
 14時にレストランを出発。バスでタマンネガラの方へ下っていく。タマンネガラもマレーシアでは有数の探鳥スポットなので、このまま行ってみたいとも思ったが、まだ数時間も移動しなければならず、何より今回のスケジュールからは外れている。 途中でバスを降りてゆっくりと周囲を観察しながら道を下る。チン・ホックさんが「絶対に見せます」と言ったサイチョウの仲間はなかなか現れない。
 途中の木の枝に、コシラヒゲカンムリアマツバメがとまっていて、その独特の顔の化粧に一同感激した。日本では、アマツバメの類はほとんど木に止まることがないのに、このアマツバメは縄張り宣言のように何度も飛んでは同じ枝に戻ってくる。ほかにウロコヒヨドリ、キバネヒヨドリ、クビワヒロハシ、アズキヒロハシ等に出会った。また、大型キツツキの仲間のキエリアオゲラが、木の幹で虫を探していた。
 皆が少し疲れて休憩しているとき、背後の林から小さな黒いものが、道路わきの枯れ木に飛んできて止まった。「あっ!」だれかが声を上げた。全長20センチほどで、腹部の皮膚が拡がって、グライダーのように滑空するのである。そしてノドの下には黄色い三角の膜があり。まるでそれをマサカリを木に打ち付けるような動きで上下に首を振る。

07_08_09-KoshirahigeKanmuriAmatsubame_Kieriaogera_Tobitokage   コシラヒゲカンムリアマツバメ  キエリアオゲラ      トビトカゲ
                                            Sketch by DAD                     Photo by Dr.S.Isoe

 休憩場所で歩き回っていると、道路わきの木の中でヒマラヤジリスがちょろちょろと動き回って、そのうちの1匹が木から下りると、私のそばまで来てじっと私を見上げる。エゾシマリスに似ているがそれより二回り小さく、可愛いので写真に撮ってみた。写真を撮り終わると、ささっと戻っていった。少し下ったところに咲くサルビアではムナグロタイヨウチョウがホバリングして蜜を吸っている。
 この近辺の花は紫がかったものが多い。全て野生に近いのだろうが、株の並び方がきれいに一列に並んでいるものも多く、野生のものを移植したのかあるいは栽培品種なのかはよく分からない。いずれにしても、ランを除いて概して地味な花が多いように思う。

10_11_12-HimalayaJirisu_PurpleFlowers_MunaguroTaiyouchou                 ヒマラヤヂリス      紫いろの小花    ムナグロタイヨウチョウ
           Photo by DAD            Photo by Dr.S.Isoe

 橋の上でアカハラシキチョウを観察しながらバスを待つ。バスでギャップへ戻る途中、時々下車してはオレンジハナドリ、キムネメジロ、シロハラカンムリヒヨドリなどを捜す。
 このフレーザーズヒルは進入路が限られており、上り・下りの要所にゲートがあって、このゲートは一定時間内にしか開かないとのこと。私たちは日中一旦外へ出ているので、ゲートの開く19時まで待ってフレーザーズヒルへ向かう。そういえば、このフレーザーズヒルに最初に入った時は、夜かなり遅かったは:ずで、そのときはどうやって開けたのだろうか・・・。
 途中、町の商店に立ち寄って、宿舎到着20時。すぐに夕食になった。昨日までは、夕食の後もおしゃべりをして夜更かしをしていた人達も、さすがにこの宿舎最後の夜ともなると、皆早めに寝室へ切り上げていく。

( 以下、マレーシア探鳥記 (5)に続く )

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