秋の尾瀬湿原を歩く-4

10月13日(月)
 少し早起きして妻と一緒に湖岸へ出た。左手、東側のミズトクサが立ち並ぶ中でカイツブリがさかんに鳴いている。双眼鏡で見ると、少し波立つ湖面にカイツブリ、コガモ、ホシハジロ、が数羽見つかった。少し雲が切れて燧ケ岳の頂上に陽が射し、望遠鏡でのぞくと頂上にもう何十人もの人が登って、歩いている。雨はすっかり上がり、時として薄日は射すが、なかなか雲が取れない。
 山小屋の前の泉でまた水筒に水を補充する。その他に私達が出したゴミを一袋、手に提げて歩く。尾瀬は基本的に「持ち込まず、持ち出さず」を大原則にし、入山者の靴の底に付着したゴミ落としをして、下界の植物の種を持ち込まないようにと、自然保護に神経を使っている。
 湖畔から三平下まで戻り、ここから三平峠まで一気に上る。春には雪に難渋したが、今は楽である。林の上のほうでカケスやアカゲラ、コゲラの声を楽しんでいるうちに、三平峠には意外にすんなりとたどり着いた。

10_11-Chozogoyamae-Hiuchi_Tougekudari   ビジターセンター前から燧ケ岳を望んで      三平峠から下る

 三平峠で軽く一息ついて、すぐに下りにつく。この下りは結構厳しく、緩やかな勾配は少ない。峠の外側は尾瀬ヶ原の盆地よりは若干暖かいようで、ちょうど紅葉が最盛期であり、「錦秋」という言葉がぴったりする景色であった。ほっとするほんのひと時の錦絵である。針葉樹が少なく黄色味の多い落葉樹が目を楽しませてくれる。
 三平峠からしばらく下ったところで、下りの途中で怪我をしたらしい中年の女性が倒れていた。本人は意識的には元気そうだったし仲間らしい人たちが6~7人居るようだったので、私達は先行した。。
 峠からの一番急峻な斜面が終わり、今は使われていない車道まで下りた。廃止となって使われなくなった砂利道には、草木が生えて歩くのさえも困難な状況になっている。自然の回復力には、神々しささえ感ずる。

12_13_14-Sanpei-Touge_Ichinose-MAM     錦秋の道    一の瀬川の滝       マムシグサの実と枯葉

 一の瀬から大清水の駐車場まで約4キロ、一般車通行止めの砂利敷きの車道が続く。ここは一番楽であると同時に、一番つまらないルートでもある。それでもヒガラ、シジュウカラの声を聞き、実を結んだマムシグサの赤い実を何か所かで見つけた。
 大清水には予定より1時間ほど早く着いたが、もう迎えのバスが待っていた。大清水を出て戸倉温泉のロッジに寄り、ゆっくり入浴したあとに昼食をよばれてひと休みし、再びバスに乗って新宿に帰ってきたが、さすがに3連休の最後とあって、車も少し混雑していた。

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