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◆ 北海道では、昨年は11月中ごろには根雪になり、記録的に早かった。ところが今年は逆に暖冬で、私達が北見に到着した時点ではまだ雪は積もっていなかった。
——:飛行機 ——:車 ——:鉄道
12月5日(金) 北見へ
◆ 藤沢を発つ時は、時折小雨の降るやや寒い天候であった。JRと京浜急行を乗り継いで羽田へ。羽田で昼食を摂り、13時50分発のJAS‐A300Rで一路女満別空港へ向かった。飛行機から屈斜路湖がよく見えた。中学生のとき美幌峠から見た屈斜路湖は雄大であったが、今回はより高空から眺めており、感激である。雪は湖の西側の斜面にわずかに見え、あとは枯れ葉色の起伏が続いていた。
◆ 女満別空港に出迎えてくれた息子の家族と共に北見市へ向かう途中、雪らしい雪が無く、ここ10年来で最も根雪が遅いと言う。
12月6日(土)
◆ 朝、車でオホーツク海の能取(のとろ)岬へ向かう。寒々とした岬では、それでもハギマシコに出会った。ここから網走に向かっていると、路肩に残った雪の上に点々とタヌキらしき足跡と、反対側の路肩に一直線に走るキタキツネの足跡があった。
オホーツク海(能取岬) タヌキ(?)の足跡
◆ 網走川の河口近くまで来ると、川岸にカモメ類の集まるポイントが何か所かあり、車の中からじっくりと眺めた。カモメ、シロカモメ、セグロカモメ、オオセグロカモメ、ワシカモメ、ウミネコなど。
◆ ここから東へ走って、途中でヒメウ、シノリガモ、オジロワシを見ながら濤沸湖白鳥公園まで行くと、ここでは沢山の水鳥に出会えた。オオハクチョウ、ユリカモメ、マガモ、オナガガモ、シノリガモ、ホオジロガモ、スズガモ、ウミアイサなど。
◆ ここでもご他聞に漏れず、鳥寄せ・客寄せのためのパンを売っていた。観光客がばら撒くパンに群がる鳥達を見ていると、この行為は一見「愛鳥」に見えても、自然の摂理から見ると、「野生」が「人」に頼り切ってしまうという意味で、逆効果なのではないかと思う。むしろ、釣りのしかけや魚網などを海中に放棄したり、腐らないブラスチックなどのゴミをそこら辺に放置する行為を止めるモラルを持つことの方が、よほど「自然保護」や「愛鳥」につながると思う。
左:ワシカモメ、右:オオセグロカモメ(?) オオハクチョウ、ユリカモメ、マガモ
◆ その後北見まで戻る途中に、タンチョウ、オオワシなども観察して、息子が是非見せたいと言っていた鳥にはひととおり出会うことができた。他にはアオサギ、トビ、ヒヨドリ、ツグミ、エナガ、ヒガラ、ゴジュウカラ、アトリ、シメ、スズメ、カケス、ハシボソガラス、ハシブトガラスなどを観察した。北見までの帰途、少しずつ気温が下がってきて、息子の自宅に着く頃にはちらほらと雪が舞いだしていた。
12月7日(日) 旭川へ
◆ 朝、-6℃。昨夜からちらちらと降っていた雪が一晩で15センチちかくも積もっていた。時期的に見て、これで一気に根雪であろう。トウヒの枝葉に雪が積もって、クリスマスツリーのようになっていた。
雪かき 天然クリスマスツリー
◆ 昼前、やっと馴染んで笑顔を見せるようになった孫とも別かれ、北見駅から石北本線の特急に乗る。途中の遠軽(えんがる)駅の駅弁「かにめし弁当」が美味くて有名だというので、駅についてすぐ買いに行ったが売り切れ。ほとんど人が並んでいなかったようなので尋ねてみると、北見までの予約客の分を車内に積み込んで、残りだけをホームで売るのだと言う。仕方が無いので、売店でおにぎりと缶コーヒーを買って車内に戻る。期待をはぐらかされたためか、このおにぎりは非常に味気なかった。
◆ 北見から旭川までの3時間弱のあいだ雪が降り続き、たまに雪が止んでも、列車の巻き起こす地吹雪で景色もほとんど見えない。旭川駅に着くと、雪はボタン雪になっていた。娘の所は4歳と2歳の男の子二人で、にぎやかな盛りである。上の子は既に私たちのことをよく飲み込んでいたし、下の子は全く人見知りをしない。娘は3人目がお腹に居て、9ヶ月目。
12月8日(月)
◆ 朝、-8℃。雪は降り続いている。今日は孫たちの通う保育園の餅つき大会。孫たちの父親が出勤なので、私達が娘と一緒に参加した。無認可の保育園だが、もう先代から30年以上続けており、色々のイベントを企画したりしてとても面倒見がいいという。
◆ ちゃんと臼と杵を用意し、蒸したもち米を電動餅つき機で8割方ついてから臼に移して、園長先生が杵で搗いてみせ、子供たちに小さな杵で搗かせる。搗きたての餅を細かくちぎって納豆や醤油にからめて食べさせる。子供たちは大喜びである。私たちまでご相伴にあずかった。
◆ 本日の最高気温は-6℃、園内は20℃以上。園舎は古い木造なので、窓の外の屋根庇にはツララが下がり、屋根の雪が少しずつ滑り落ちてくるので、そのツララがめくれながら変形している。
つらら-1 つらら-2
◆ 旭川市内の個人のお宅で、外側をイルミネーションで飾り、評判になっている所があるよ、と娘が連れて行ってくれた。かなり大きなお宅で、庭全体と駐車スペース、そして屋根庇などに電飾を張り巡らせ、何本もあるトウヒやイチイの木をカラー電飾で際立たせて素敵であった。個人宅であり直接了解を取っていないので、写真を掲載できないのが残念である。
◆ 娘の夫は、夕方に車で北見へ出張。いつもの慣れたコースだとは言え、吹雪の中層雲峡、石北峠越えはきついだろう。心配していたが、夜になって無事着いたと電話があり、ほっとする。
12月9日(火)
◆ 娘が、昨日は私たちが孫たちの餅つきに付き合ってくれたからと、今日は孫たちの保育園を休ませて、私たちが札幌へ出発するまで相手をさせてくれた。上の子はいまウルトラマンに夢中である。下の子は兄の人形を借りて振りかざしながら何か話しているが、判らない。娘の通訳でやっと理解したが、久しぶりで幼児語の面白さに触れた。
札幌へ
◆ 娘や孫たちに旭川駅まで送ってもらい、午前のL特急で札幌に向かう。いつでも会えるという気持ちが双方にあるせいか、以前のような「別れ」の愁嘆場はない。それに妻は、1月中旬には娘の出産の手伝いで、また来ることになっているのだ。
◆ 列車は、雪の中を札幌へ。私が札幌に住んでいた高校生の頃までは、旭川と言うとSLの鈍行でほぼ3時間。実に遠い町であった。今、このL特急は1時間20分で札幌に着いてしまう。車でも、道央自動車道で2時間で着いてしまうと言う。全く隔世の感がある。
◆ 札幌駅から市街地南部の常宿まで、タクシーに乗った。雪は小止みになっていたが、意識していなかった疲れが出てきたせいか、景色を楽しむ間もなく宿に入り、体を休めることにした。
12月10日(水)
◆ まだちらちらと雪の舞う中、市電で市街の中心部へ出て少し買い物をしたほかは、疲れを取るためにまた宿に戻った。以前なら兄弟の所や友人の蕎麦屋に寄るのが常であったが、今回は全て遠慮した。
12月11日(木)
◆ 朝から晴れた。宿の窓からは私が中・高生の頃ほぼ毎日登った藻岩(もいわ)山が変らぬ姿を見せた。冬、割合暖かい日の翌朝にミシッと冷え込むと、山の樹という樹に樹氷の華が咲き、春の桜やコブシの時期よりはるかに見事な時があったことを思い出した。
朝日の当たる藻岩山麓 山麓の廟塔(左)と仏舎利塔
◆ 札幌駅は以前とはすっかり様変わりで、JRは高架になり、地下鉄が2本乗り入れ、駅ビルは「JRタワー」と呼ばれる超高層ビルになった。駅の周辺も高層ホテルが立ち並んで、私や妻の子供の頃の面影は全くない。ここからJRの快速で新千歳空港へ、そしてJALのボーイング747で羽田へ戻り、藤沢の自宅にはまだ明るいうちに帰り着いた。
札幌駅/JRタワー