ロンドンよりの便り

 1月12日、ロンドンに住む未知の英国人から突然メールが入った。入れ子細工人形のマトリョーシカのコレクターで、ネットで私が2003年にアップした箱根の入れ子細工のページを見つけ、グーグル翻訳ソフトで翻訳したのか、日本語と英語で質問してきた。
 質問は、「あなたのホームページで、マトリョーシカのルーツが日本の箱根にあることを知った。箱根のタナカさんは、今でも入れ子細工を作っているか?私はどのようにすればタナカさんに連絡を取れるか?」という内容だった。田中さんは英語を理解しないし、パソコンも持っていないのでインターネットやメールのやりとりが出来ない。
 私も田中さんとは年賀状以外ではしばらくご無沙汰していたので、久しぶりに工房に電話してみた。そうしたら82歳になる今も、元気にロクロ作業を続けているという。それをロンドンに伝えると、いまタナカさんが作っている入れ子細工のカタログがほしいという。そこで田中さんからカタログと製品の写真・価格表を札幌に送ってもらった。

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上から12卵、七福神、七福ダルマ、四つフクロウ

  カタログには、12卵(32,000円)、七福神(32,000円)、七福ダルマ(21,500円)、4つフクロウ(15,100円)が載っている。そこで私が七福神やダルマ大師に関する説明書を作り、ワードで編集して写真と共にメールに張り付け、ロンドンに送った。
 再度メールが来て、「12卵を作っていることは分かったが、タナカさんは36卵を今も作っているか?」との質問。それについて田中さんに問い合わせると、「もう年齢のせいで根気が続かなく、頼まれても無理。今は神奈川県歴史博物館と箱根町郷土資料館にあるだけです」との答えが返ってきたので、その旨をメールした。
 ふと思いついて、その英国人が見ていたというアメリカ・イーベイのオークションサイトを見て見ると、マトリョーシカ(3個組から30個組まで)が数多く出品されており、値段も送料込みで日本円で最低2,000円からの始値で格段に安い。だから私が送った田中さんの作品の価格には、多分驚いたのだろう。ここで向こうからの連絡が途絶えた。
 このオークションサイトには、日本製の入れ子細工の出品は、七福神のうちの2個だけのものが1組、出品されていた。マトリョーシカの出品者はロシア、アメリカ、イギリス、オーストラリア、中国の人で、中国の同じ人のものが圧倒的に多い。

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稚内空港で見つけたフクロウの入れ子

 上の写真は、10年ほど前に稚内空港(だったと思う)の売店で見つけ、2,000円前後で買った5つフクロウの入れ子細工である。売店の店員に「ロシア産か?」と尋ねると、困ったような顔をして「国産だがどこで造られたかは分からない」と回答してきた。当時はサハリンと稚内の間での貿易が盛んで、中には密貿易も問題になっていたので、この入れ子細工は、私はロシアで作られたのではないかと思い込んでいる。

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