北海道転勤族

 私の若い頃は、大手企業に勤務しても、北海道以外の土地から北海道への転勤は『左遷』や『懲罰』のイメージを持った暗いものに感じられることが多かったようである。最近はそんなことはないだろうと思っていたら、北海道新聞(6月8日)に、転勤を命ぜられて泣く泣く北海道にやってきた社員が、数年の任期を経て東京への帰任を命ぜられた時、帰りたくないと泣くマンガが掲載されていた。
 30年以上も前のこと、私が勤務していた札幌市内の大型建築現場に、本社と東京支店から2名の社員が派遣されて来た。1名は副所長として、1名は技術系社員として、いずれも初めて北海道の地を踏んだのである。
 副所長は単身でやってきたが、2か月ほど経った頃に妻と2人の子供(中学生と小学生)を呼び、郊外のマンションに入居した。休日には家族全員で自転車に乗り、札幌市内を隅々まで見て歩いた。また冬はあちこちのスキー場にでかけ、子供たちはいっぱしのスキーインストラクターになっていた。3年の工期を終えて東京へ帰任するとき、札幌での住まいは借りたまま、別荘としてしばらく利用していた。
 もう1人の社員は独身であったが、休日ともなると殆ど独身寮には居らず、北海道をくまなく歩き回って、地元の我々よりもはるかに北海道通になっていた。東京へ帰任の後、希望して新潟の支店に移り、そこでも仕事を通じて管轄エリアをくまなく歩き回ったそうである。さいわい新潟では伴侶にも恵まれた。

 一般的には、北海道は寒冷、降雪など冬の期間の暗さ、辛さが第一のイメージにあって、旅行先としての短期滞在ならともかくも、定住あるいは永住という点では二の足を踏む人が多い。しかし上のような身近な事例のように、しばらく暮らして見るとすっかり馴染んでしまって、冬の生活が楽しみに変わり、時として『戻りたくない』と言わしめる強い魅力が存在するのである。
 確かに今は、夕張市のように「財政再建団体」と称せられる都市があり、またこれに近い、あるいはこれ以下の市町村も多く存在する状況にある。北海道自体が景気の狭間で呻吟している状況にあると思う。しかしドサンコは強い。いや道民は逞しいのだ。

 コンサドーレ札幌を見よ!北海道日本ハムファイターズを見よ!北海道の「地元」を愛する人々の誇りと優しさと、そして粘り強さを見よ!

カテゴリー: 日々つぶやき タグ: パーマリンク

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