43年目の同期の蕎麦

 「よお、○○!」『おおXXか、しばらくだな!』「変わってないなぁ!」『おまえもだ。40年以上になるべか』「そだな。なかなか来れなくて悪かったな」『なんもだぁ。ま、座れや』
  2002年8月、私が札幌の高校を卒業して以来42年半ぶりに会った同期生Y君との会話である。彼は数年前に脱サラして、東京で1年間修業した後に、札幌市内の住宅地に自分の蕎麦店を構えた。このことは同期会報で知っていたのだが、なかなか訪ねる機会もなかった。たまたま今回は妻と一緒に札幌に行くことになり、ここに寄ることを思いついて予定に組み込んでいた。

0-soba(アイコン:グズラさん提供)

 店内に入るとすぐにY君が藍色の作務衣と頭巾をつけて顔を出したが、卒業したときの顔のまんまで出てきたようで、一気に時間が戻っていった。
 私達より先に来られてこの会話を聞いておられた70歳くらいのご婦人が「男の人たちっていいですね。何十年も会わなくてもすぐ昔にもどれるしね」と話しかけてこられた。ご自分もつい先日、50年ぶりのお友達と待ち合わせの約束をして、その場所でお互い分からずにしばらく顔を見合わせておられたそうである。
 帰る時、先に出られたこのご婦人が「今日は嬉しかったから」と戻ってこられて、私達の目的地までご自分の車で送ってくださると言う。遠回りになるし、恐縮してお断りすると、Y君が横から『いいべや。せっかくだし、断ったらかえって失礼だべさ』と言ってくれるので、ついこのご好意に甘えることにして、乗せていただいた。短時間ではあったが、車内で話も弾んで楽しかった。
 Y君の作った蕎麦は、「思い出」と「なつかしさ」という味付けが加わったものの、たしかにおいしくいただいた。先刻のご婦人もお友達から聞いて、来てみてとても気に入ったから、と離れたところから時々見えるのだそうだ。
 友人の評判がいいのは嬉しいことである。

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