ふくろうの巣箱架け

 10年ほど以前に、探鳥仲間の一人がある山林でふくろうをみつけたという連絡をくれたので、妻と一緒にはるばる確認に行ってきた。私達にとって、ふくろうとの初めての出会いであった。ふくろうはよく樹のウロなどを利用して子育てをすることが知られているが、最近人家の近くではウロが出来るほどの大木が減り、ふくろうの仲間の繁殖に支障が出始めている。さいわいふくろうはまだ絶滅を心配される種類には指定されていないが、開発の拡大によって数は減少している。
 鳥のための巣箱架けというと、人間の住まいに近い里山などに、自然保護団体の保護活動や小学校の自然観察教育で、主に小鳥のための巣箱を架けることが多いようである。しかしふくろうのような大型の鳥のための巣箱を架けるという活動は、まだ広く実施されているようには見受けられない。

1_2-fukurou-hina_Subakokakeふくろうの幼鳥:2002年5月(Kさん)  今日の 巣箱架け:2002年9月(Iさん)

 私達の仲間で話し合って、上記のふくろうの生息を発見した山林に巣箱を架けてみよういうことになり、その秋に厚手のベニヤ板を使って、専門家の意見も聞き、試行錯誤の寸法で巣箱を作って大木の高さ6メートルの所に設置した。ふくろうは自分では巣材を持ち込まないので、乾燥した枯葉などをたっぷり入れておいた。
 期待と不安の半々の気持ちで見守っていると、何とその年明け早々からふくろうの成鳥が出入りするようになり、やがて卵を抱き、ヒナを育て、2羽が巣立ったのである。その後毎年平均2羽が巣立っていて、今年は妻と一緒に観察に行ったときに、ちょうど2羽目の幼鳥が巣立つ瞬間を目撃できた。上左の写真が巣立ち後1週間目の姿である。巣立ちの直後は全身ほぼ真っ白で、まるでぬいぐるみのようだ。
 この巣箱も10年経ってかなりくたびれてきたので、今年の秋にまた仲間と相談をして古い巣箱を壊して落とし、新しい巣箱を作って、同じ場所に固定した。またこの巣箱を使って、繁殖を続けてくれたらなと、心から祈っている。

その後:[2003.06] 年が明けて2月、フクロウの番(つがい)が巣箱を訪れ、昨年までと同じように2羽のヒナを孵して育て、5月には無事に巣立ったという。私たちは現地に行けなくて確認できなかったが、観察していた仲間が知らせてくれた。

カテゴリー: やれやれ・・・, 動物, 日々つぶやき, 自然, パーマリンク

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA