ワシ・タカの保護

 ワシ・タカ・フクロウの仲間は「猛禽類」と呼ばれ、世界で約400種、日本では約40種が知られている。自然界の生態系の中で食物連鎖の頂点に立つといわれ、主に肉食であるが、生きた小動物や鳥を襲うもの、魚を捕らえるもの、動物の死体や腐肉を食べるもの、飛びながら昆虫を捕らえるものなど、食性は様々である。
 絶滅の危惧があるという動植物をリストアップした「レッドデータブック(RDB)」を環境省でまとめているが、この中に、種の保存上何らかの問題点があるとして、日本のワシ・タカ・フクロウの仲間のうち、実に20種がリストアップされている。
 もちろん前記の40種の中で、地域的な亜種も数えているので全体の半分とはいえないし、危惧のレベルも『絶滅の危険性がきわめて高い』というシマフクロウやカンムリワシなどから、『現時点で絶滅の危険性は低いが生息条件の変化によっては絶滅危惧種に移行する可能性のある種』というハイタカ、ハチクマ、ミサゴまでその差はあるものの、各種とも最近数が減っているようである。

1-Ootaka0206オオタカの幼鳥:2002年6月   (写真:Fさん提供)

 食性の領域が広く、かつ人との密着度の高いトビは、三浦半島などでは増えてきていると聞いているが、食性が狭いのに割合人里近くで繁殖するオオタカなどは、開発行為の影響をもろに受けている。オオタカもRDBに記載されており、全国及び各地の保護団体や同好会が、行政に支援を求めながら保護活動を続けている。
 食物連鎖の頂点に立つということは、下位のエサの量に左右されるわけで、猛禽類がエサとする小動物、その小動物がエサとする昆虫、魚介類、植物の存在し得る環境の変化に、敏感に反応するのである。だからある猛禽類を絶滅から救うには、その鳥を「殺さない」「捕らえない」「営巣の邪魔をしない」ばかりではなく、生態系全体、つまり生息環境の維持、保護が必要になる。
 こうした猛禽類の保護活動は、できれば具体的な場所を公開して関心のある人達皆で保護活動をして頂きたいのだが、公開すると密猟者が現れたり、写真を撮りたいがために巣に近づきすぎて鳥にストレスを与え、時には鳥が巣を放棄してしまうことも多いので、本当に信頼の置ける仲間以外には知らせられない。それが非常に残念である。

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