信濃大町⇔黒部ダム⇔室堂高原

 ここしばらく2~3年に1回の割りで、5月の戸隠・越水ケ原の戸隠森林植物園にバードウオッチングに行っている。
 今年もゴールデンウイーク明けにいつものメンバーで出かけることになったのだが、時期がいいのでちょっと立山まで足を伸ばし、残雪の景色の中でライチョウを見ようではないか、ということになって、いつもより1日多い日程を組んで、立山山腹の室堂にも宿泊することにした。

01-Map-Alpaine-Route

2005年5月6日(金)

大町へ
 男女7名、2台の車で藤沢を6時に出発。八王子から中央道に入り、岡谷JCから長野道へ分岐して北上した。ここまで2か所のパーキングエリアなどで休憩をとった。豊科インターで一般道に降りてさらに北上。信濃大町市に着いたのは11時ちょうどであった。
 信濃大町駅近くのそば屋によって、さっそく名物のそばを食べた。ざるそばを注文すると、小皿にきざみねぎとおろしワサビを載せて出すようになったのはいつからのことだろうか。子供の頃、会津出身の祖母がゆでてくれたそばには、ワサビが付いていたという記憶がない。
 市内のワサビ園に寄って、ちょうど咲いていたワサビの花を見た。意外と質素な、目立たない花であった。MAMが、売店で売っていたワサビソフトアイスクリームを買ったので私も舐めてみたが、かすかにワサビのかおりがするだけで、鼻にくるような辛さはなく、ほっとした。

a01-02信濃大町のワサビ田           ワサビの花__

a03-05カントウタンポポ      ツツジの一種       ヤエザクラ__

黒部ダムへ
 大町市内から立山黒部アルペンルートの東道路をたどって扇沢の駐車場に車を置く。ここからは環境保護のため、全て電動の交通機関4種類を乗り継いで立山山腹の室堂まで行くのだが、その往復の費用が8,500円で、かなり高額である。他には個人の足で危険なコースを踏破するか、ヘリコプターを使うしかないだろうが、維持費のことを考えても、もう少し安くしても良いように思う。

a06-07 黒部ダム駅地下トンネルの標識       黒部ダム堤体の記名碑__

 まず10キロほどの関電トンネルをトロリーバスで抜けると、黒部ダム堤頂に到達する。バスの終点からダムの堤頂までは、地中の階段をかなり下りていく。
 堤頂に到達すると、雨がちの谷間に巨大なダムが現れて、ダム本体の全景はとてもカメラに収まらないほど大きい。ダムの水量はかなり少なく、堤体の左右には土砂や流木がたまっていた。また下流側では放水は行われておらず、手摺からのぞき込んでもオーバーハングしていて、直下は見えない。
 両岸の少し高い所に展望台があり、全体が見渡せると思ったが、時々雨も吹き付けるので、登るのは中止して対岸まで歩いた。

a08-09黒部ダム堤体(下流側)        黒部ダム堤体(上流側)

室堂高原へ
 対岸のトンネルの中にはケーブルカーの黒部湖駅がある。このケーブルカーは、地中に掘られた勾配30度ほどの傾斜のトンネルの中を登り、標高差383メートル上の黒部平駅まで登る。

a10-11         黒  部 湖 駅        ケーブルカー(黒部湖駅⇔黒部平)

 黒部平周辺はまだ雪の中であるが、背景となる険しい山肌は黒々としており、手前のスロープの雪とダケカンバの木肌の白が良い対象である。
 ロープウエイは標高差484メートル、距離1700メートルの大観望まで、中間の支柱なしで一気に登る。私は、建設現場で高い所を割合平気で歩けたのだが、最近はこのロープウエイや先刻のダムの堤頂のように、高い所から下を眺めると下腹部がムズムズして気持ちが悪い。高所恐怖症になってしまった。

a13-14霧に包まれる山とダケカンバ(黒部平にて)  ロープウエイ(黒部平⇔大観望)__

 大観望でロープウエイからトロリーバスに乗換え、10分で室堂に到着。駅前の駐車場は除雪してあるが、ここから天狗平、弥陀ケ原を経由して富山方面に通じる道路は、その両側に見事な雪の壁ができている。ちょうど昨日まで、この雪壁に沿って数百メートルを歩くイベントがあったとか。

a16-18           雨の室堂駐車場          (観光パンフから)

 駅舎の後ろへ回って、雪の中を標識に従って歩く。雪は春の暖気でかなり融けており、先行者の足跡の中には雪の中に大きく埋まりこんだものもある。その穴を避けて歩いたのに、自分も何度か穴を開けてしまった。
 駅舎のところは標高2450メートルで、そこからやや登った所にみくりが池を見渡す所がある。池は、冬の間はスッポリと雪に埋もれていたのであろうが、雪が融けて一部冴えた青い水面が見えていた。
 周囲の景色は、残雪の白っぽさとハイマツの黒っぽさとが、コントラストを見せている。ロッジに荷物を置くと、皆でライチョウを探しにロッジ裏の斜面を少し歩き回ったが、止まない雨の中、出会えなかった。
 あきらめてロッジまで戻ったところ、ロッジの下のほうのハイマツの向こうで、「グェッ!グェッ!・・・」と数声、ライチョウが鳴いた。

a19-20雪に埋もれたみくりが池        みくりが池温泉ロッジ_

 2005年5月7日(土)

 前夜は夜通し風雨が激しかった。夜が明けてまだ雨の降り続く中、私達はあきらめきれず、雨仕度をして外へ出た。私が一足先にロッジ裏の斜面を登っていった。
 合羽の帽子で雨を避けながらふと前をみると、なんと目の前の石畳の上をライチョウがとっとと走っていく。体が白く、首から上が茶色く夏毛に変わりかけたオスだった。初めて出会った感動の一瞬であった。
 少し先のハイマツと積雪の間に隠れたので、少し戻って出てきた数人のメンバーを連れてその場所に戻りかけたとき、道の反対側から登山者が歩いてきたため、ライチョウはどこかへ逃げてしまった。結局、ライチョウの姿を見たのは私一人であった。

扇沢へ戻る
 風雨の中で宿に居ても仕方がないので、予定より早く切り上げ、昨日とは全く逆のルートで扇沢の駐車場まで戻った。室堂では雨で景色もまるで見られなかったのに、こちらではカラリと晴れて陽が差している。

a21-22 市立 大町山岳博物館

大町山岳博物館
 車に分乗して信濃大町まで戻り、和食のレストランで昼食を済ませて、大町市立山岳博物館へ行って見た。小高い高みにあり、建物の前からは雄大な北アルプスが一望できる。妻が「1か月くらいこんな景色を見ながら暮らしてみたいね」と言った。
 中には、北アルプスや立山連峰に関する情報、日本の国内・海外での登山の歴史、そして昆虫、動物などの標本が展示されていた。また建物の外には初夏の花が咲き、傷ついた野生動物が保護されていた。

a23-24大町山岳博物館より見る北アルプス

a25-26スミレの仲間            サクラソウの仲間

霊松寺(れいしょうじ)
 メンバーの一人が車の中から看板を見つけて、行って見たいというお寺に回ってみることにした。くねくねした山中の道をたどると、霊松寺の境内に入った。境内には大小のドウダンツツジが満開で、その可憐な白い花が盛大に輝いていた。

a27-28 霊松寺で出会った観光ボランティア        霊松寺本堂______

a29-30霊松寺境内ではドウダンツツジが見事

戸隠へ
 信濃大町であちこちと歩き回り、陽も傾いてきたので、カーナビに戸隠森林植物園をセットしようとしたが、車の現在位置をなかなか認識できない。やむを得ず助手席の人が長野県の道路地図を広げて、スタートした。
 カーナビが機能し始めたのは、車が鬼無里に入ってからだった。

出会った鳥達
 トビ、ライチョウ、コゲラ、ツバメ、キセキレイ、セグロセキレイ、ヒヨドリ、
_     
イワヒバリ、カヤクグリ、コヨシキリ、キビタキ、オオルリ、カワラヒワ、
     ウソ、スズメ、ムクドリ、カケス、ハシボソガラス、ハシブトガラス

追伸:
  霊松寺で出会った観光ボランティアの方が、偶然このサイトを見つけて、秋の霊松寺山門の写真と共に”かずみ”のハンドルネームで掲示板に書き込みをして下さった。偶然私がほぼ同じ位置から写していた春の写真と並べてみる。なおかずみさんは、北アルプス山麓を紹介するサイトを運営しておられる。
http://alpskaz.hp.infoseek.co.jp/

a33-34 霊松寺・秋の山門(写真:かずみさん)    霊松寺・春の山門(写真:私)__

以下、「戸隠・越水ケ原の春を歩く」に続く

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